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退職者の引き継ぎが重要な理由
介護施設において、職員の退職は避けられない出来事です。しかし、退職に際しての引き継ぎが不十分だと、利用者や家族へのサービスの継続性が損なわれ、残ったスタッフの業務負担が急増するリスクがあります。
利用者・家族への継続的なサービスへの影響
介護職員は担当利用者の日常生活の細かな特記事項を把握しています。起床・就寝の時間帯、好きな食べ物や嫌いな食べ物、服薬のタイミング、気分が落ち着く声かけの言葉など、記録に残りにくい情報が多く存在します。これらが引き継がれなければ、後任の職員が利用者に適切なケアを提供できず、利用者の不安やサービスの質の低下につながります。
また、家族への連絡頻度や特別な要望(「必ず担当者から電話してほしい」「夜間の連絡は控えてほしい」など)も個別に把握されていることが多く、引き継ぎ漏れが家族との信頼関係に影響します。
スタッフ間の知識断絶を防ぐ
退職者が担っていた委員会業務や外部業者との折衝業務は、口頭で伝えるだけでは後任者が把握しきれません。特に感染対策委員会・虐待防止委員会などの役職業務は、月次の会議日程や担当範囲が明確でないと、業務の空白が生まれます。文書化された引き継ぎ書があることで、退職後も業務が滞りなく継続されます。
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退職2〜4週間前に完了すべき引き継ぎ事項チェックリスト
退職が決まったら、できるだけ早期から計画的に引き継ぎを進めることが大切です。以下のチェックリストを活用してください。
【担当利用者関連】
- 担当利用者全員の特記事項・注意事項の文書化(起床時間・食事介助方法・禁忌動作など)
- 服薬管理・アレルギー・禁忌事項(薬の種類・時間・飲み合わせ注意点)の引き継ぎ
- 家族連絡先・連絡頻度・特別な要望の引き継ぎ(緊急連絡先の確認含む)
- ケアプラン更新予定の確認と後任者への伝達(更新時期・担当ケアマネとの連絡状況)
- 利用者ごとの関わりのコツ(認知症の方への声かけ方法、安心させる言葉など)の文書化
【業務・役割】
- 担当している定例業務(委員会・会議・研修担当など)の引き継ぎ
- 業者・外部連絡先の一覧作成と引き継ぎ(訪問診療・薬局・福祉用具業者など)
- 備品・鍵・ロッカーの返却(施設備品の使用場所・管理方法の伝達含む)
- 記録・書類の整理・保管場所の明確化(書類棚の場所・電子ファイルの格納先)
- 進行中・未完了業務の一覧作成と優先度の整理
【システム・アカウント】
- 介護記録ソフトへのログイン情報の確認と管理者への報告・アカウント削除依頼
- 施設SNS・共有フォルダ・グループウェアのアクセス権削除依頼
- メールアドレス・業務用電話番号の引き継ぎまたは削除処理
業務引き継ぎ書テンプレート(記入例付き)
引き継ぎ書は口頭での補足とセットで活用することが重要です。以下のテンプレートを参考に、自施設の実情に合わせて編集してください。
| 引き継ぎ項目 | 内容・詳細 | 優先度 | 担当予定者 | 完了確認 |
|---|---|---|---|---|
| 担当利用者A氏のケア | 毎朝6時起床補助・服薬3種あり(朝食後)。入浴時は左肩に注意(脱臼歴) | 高 | 山田 | □ |
| 担当利用者B氏のケア | 認知症あり。「おはようございます、Bさん」と名前で声かけすると落ち着く。夕方以降に不穏になりやすい | 高 | 佐藤 | □ |
| 家族連絡(C氏長男) | 月1回電話報告(毎月第1金曜午後)。メールNG。担当者変更時は必ず事前連絡を | 高 | 山田 | □ |
| 感染対策委員会 | 毎月第2木曜13時。次回は〇月〇日。資料は共有フォルダ「委員会/感染対策」に保存 | 中 | 未定 | □ |
| 薬局との定期連絡 | 〇〇薬局(TEL:000-0000-0000)毎週月曜午前に発注確認。担当:鈴木氏 | 中 | 田中 | □ |
| 記録ソフトアカウント | 介護ソフト「〇〇」のID削除依頼を管理者へ提出済み。退職日以降は使用不可 | 低 | 管理者 | □ |
| ロッカー・備品返却 | ロッカーNo.8の鍵・施設タブレット(No.3)・印鑑を事務所へ返却 | 低 | 本人 | □ |
※上記テンプレートを自施設でご使用の際は、利用者名や担当者名を実際の情報に書き換えてください。
退職者との最終面談・退職手続き確認事項
引き継ぎ業務と並行して、施設側と退職者の間で行う退職手続きも確実に進める必要があります。管理職が主導して最終面談を設け、以下の事項を確認してください。
- 退職願の提出確認:就業規則に定められた期日(通常1ヶ月前)までに退職願が提出・受理されているか確認する
- 有給消化の確認:残余有給日数と消化スケジュールを双方で確認。法定付与分は原則として消化できるよう調整する
- 社会保険・雇用保険の手続き説明:退職後の健康保険(国保切り替え or 任意継続)と雇用保険の受給手続きについて、担当者から本人に説明する
- 源泉徴収票の送付先確認:退職後に送付する源泉徴収票の郵送先住所を退職日までに確認しておく
- 退職後の守秘義務に関する確認:利用者情報の取り扱いについて退職後も守秘義務が続くことを説明し、誓約書の締結を行う
引き継ぎを効果的に行うためのポイント
引き継ぎの質はその後のサービス継続性を左右します。以下のポイントを管理職・退職者ともに意識して取り組んでください。
口頭だけでなく必ず文書化する
「口頭で伝えた」だけでは、後任者が入ってから「聞いていない」「忘れた」という状況になりがちです。特に利用者のケアに関する注意事項は必ず文書に残し、施設のケア記録システムや引き継ぎノートに入力・記載しておくことが重要です。文書化することで、退職者が不在でも後任者や他の職員が参照できる環境を整えられます。
後任者との同行期間を設ける
できれば退職日の1〜2週間前から、後任者と退職者が同じ業務を並行して行う「同行期間」を設けることが理想です。同行期間中に利用者と直接関わることで、書面では伝えきれないニュアンス(利用者の表情・反応・好みなど)を体感的に引き継ぐことができます。特に認知症の利用者がいる場合、関係性の引き継ぎは書類よりも実際の同行が有効です。
引き継ぎ状況を管理職が最終確認する
退職者と後任者の二者間だけで引き継ぎを完結させるのではなく、管理者またはリーダーが引き継ぎ書の完成状況を確認し、不足がないかチェックすることが大切です。退職日前の最終確認の場を設け、チェックリストにサインまたは印を押す形式にすることで、組織的な記録として残すことができます。
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ふくしの素材館 https://kaigo-sozai.com /参考様式・各施設の実情に合わせて編集してください



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