「アセスメントシートに何をどう書けばいいのかわからない」という声は、現場スタッフやケアマネジャーから今も多く聞きます。書類の形式は厚生労働省が示す23項目で決まっていますが、「どんな情報をどう表現するか」は書き手のスキルに左右されます。このページでは、実地指導で指摘されないアセスメントの書き方と、現場ですぐ使える記入例を解説します。
アセスメントの23項目と書き方のポイント
厚生労働省が示す課題分析標準項目には23の項目があります。全項目を完璧に埋めることより「関連性のある項目同士を整合させること」が実際には重要です。たとえば「認知機能」の項目で「記憶障害あり」と記録したなら、「服薬管理」「金銭管理」「意思疎通」の項目も一貫した内容で記述することが求められます。矛盾のある記録は実地指導で即指摘されます。特に注力すべき主要3項目は次のとおりです。
- ADL(日常生活動作):「できる・できない」だけでなく、「どの程度の介助で・どのくらいの時間で・どんな状態で」行っているかを記録します
- 認知・意思疎通:認知機能の状態(HDS-R・MMSEスコアがあれば数値も)と、実際の会話・意思伝達の実態を分けて記録します
- 健康状態・服薬:既往歴・現在の疾患・服薬内容を列記し、日常ケアに影響する項目(転倒リスク・嚥下障害等)を明記します
よくあるNG表現と正しい書き方の例
アセスメントで最も多い記録ミスは「曖昧な表現」と「主観的すぎる表現」です。実地指導員は具体性がない記録を「観察していない」と受け取ります。
| NG表現 | 正しい書き方例 |
|---|---|
| 歩行が不安定 | 屋内は壁伝い歩行。屋外は4点杖使用。5m歩行に約20秒、途中1〜2回立ち止まる |
| 食欲が低下している | 2週間前から夕食の摂取量が約6割に減少。本人は「食べる気がしない」と発言。体重先月比−1.2kg |
| 認知症あり | HDS-R 18点(軽度認知障害相当)。直近の出来事は忘れるが昔の記憶は保たれている。家族との会話は成立する |
| 家族が心配している | 長女より「一人で入浴させるのが不安」との申し出あり。週2回の訪問介護による入浴支援を希望している |
| 特に問題なし | 前回(2025年11月)と比較してADL・認知機能に変化なし。本人の意欲は高く、自立した日常生活を継続している |
「前回との変化」を記録することが実地指導の最大のポイント
実地指導で最も頻繁に指摘されるのが「定期的な再アセスメントをしているか」という点です。初回アセスメントはほぼどの施設でも行われていますが、3ヶ月後・6ヶ月後の再アセスメントで「前回からの変化」が記録されていないケースが多く見られます。
「変化なし」でも記録が必要です。「前回(2025年11月)と比較して、移動能力・ADLに変化なし。本人の意欲は高く自立した生活を継続している」という記述が、再評価を実施していることの証明になります。状態が変化している場合は「前回と比較してADL低下あり。具体的には〇〇ができなくなり、現在は介助が必要」という差分表現を必ず入れてください。
本人意向と家族意向を分けて記録する理由
アセスメントで見落とされがちなのが「本人の意向」と「家族の意向」を同一欄にまとめてしまうことです。実地指導では「本人の意思が確認されているか」が重要なチェックポイントです。認知症があっても「本人が表情や行動で示した意思」を言語化して記録できます。「本人は入浴を嫌がることが多いが、湯船に入った後は笑顔が見られる(入浴の意向あり)」のような記述が本人意思確認の証明になります。家族の意向は「長女より〇〇の希望あり」と別記し、本人意向と家族意向が食い違う場合はその調整プロセスもケアプランに反映させます。
アセスメントにかける時間を減らしながら質を上げるコツ
ベテランケアマネや施設スタッフがアセスメントに費やす時間は、経験が増えるにつれて短くなっていきます。その理由は「観察すべきポイントの優先順位」が身についているからです。初めてアセスメントを担当するスタッフには、①現在困っていること(本人の訴え)→②それを引き起こしている要因(ADL・認知・環境)→③支援で改善できること——という3ステップで情報を整理する方法が有効です。このフレームで考えると、23項目の中でどこに注力すべきかが自然に見えてきます。
アセスメントシート(無料テンプレート)はこちら
厚生労働省の課題分析標準23項目に対応したアセスメントシートの無料テンプレート(Word形式)も配布しています。前回記録日との比較欄・本人意向と家族意向の分離欄を設けているので、このページの内容をそのまま実践できる構成になっています。


