SOAP方式は医療現場で標準的な記録方法で、介護現場でも広く使われています。「主観(S)・客観(O)・評価(A)・計画(P)」の4要素で書くことで、論理的で根拠ある記録になります。この記事ではSOAPの基本と、よくある4ケースの記入例を解説します。
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SOAPの基本
- S (Subjective):主観情報。本人・家族の訴え、発言、感じたこと。
- O (Objective):客観情報。バイタル、観察した事実、数値、画像。
- A (Assessment):評価。SとOから何が起きているか、どう判断するか。
- P (Plan):計画。今後の対応、観察ポイント、家族説明、医療連絡など。
叙述記録との使い分け
- 叙述記録:日常的な記録に向く。時系列で起きたことを書く。
- SOAP:状態変化・事故・問題発生時に向く。原因分析と対応が明確になる。
ケース別記入例
ケース1:転倒
S:「トイレに行こうとして、立ち上がったらふらっとして…」(本人発言)
O:14:30 居室入口で尻もちをついた状態で発見。意識清明、見当識正常。BP 138/82、P 72、SpO2 98%、体温36.6。右大腿部に軽度発赤、痛みなし。打撲部位の腫脹なし。立位可能、歩行は痛みなくいつも通り。
A:降圧剤服用中で起立性低血圧の既往あり、急な立ち上がりが要因と推測。骨折・脳血管障害の急性所見なし。
P:①往診医へ電話報告し受診不要の指示確認、②家族へ電話説明、③24時間バイタル経過観察、④起立時は1呼吸置く声掛けを全職員へ周知、⑤次回サ担会議で居室レイアウト見直し提案、⑥同部位疼痛・腫脹増悪あれば即受診
ケース2:発熱
S:「なんとなくだるい、寒い」(本人)「朝から食欲なかった」(妻)
O:10:00 体温38.2、BP 128/74、P 96、SpO2 95%。咳嗽あり、喀痰黄色少量。下痢なし、嘔吐なし。食事摂取量朝1割、水分朝200ml。皮膚乾燥傾向、口唇やや乾燥。
A:呼吸器症状+発熱から上気道感染症の可能性。脱水傾向あり水分摂取促進必要。
P:①往診医へ電話相談、②2時間ごとバイタル測定、③水分・食事摂取量記録、④トイレ介助時は感染対策強化(マスク・手袋)、⑤家族へ状況連絡、⑥同居家族に体調確認、⑦明日朝も発熱継続なら受診手配
ケース3:サービス拒否(入浴)
S:「今日は入りたくない」「面倒くさい」「あんたたちが勝手にやれ」(本人発言)
O:10:00 入浴予定だが本人居室から動かず、布団かぶる。表情やや険しい。バイタル異常なし、体調不良の訴えなし。前回入浴は3日前(5月25日)。皮膚状態:陰部・腋窩に汚れ目立つ。
A:身体的問題ではなく心理的拒否と推測。前日家族との電話で不愉快な会話があった可能性(記録から)。皮膚衛生上、清潔保持は必要。
P:①本日は無理せず清拭対応に切替、②14:00頃に再度声掛け試行、③本人の好きな話題(孫の運動会)で気分転換、④家族(長女)へ状況報告、⑤明日デイ入浴での介入予定継続、⑥3日連続拒否時はサ責・看護師でアセスメント実施
ケース4:認知症BPSD(夜間徘徊)
S:「会社に遅れる」「子どもが帰ってこない」(夜間繰り返し発言)
O:1:30、2:45、4:00 起き上がり廊下に出る行動を確認。声掛けで居室に戻るが30〜60分後再度起き上がり。日中の活動レベルは通常通り、昼寝は午前1時間。夕食摂取量9割、就寝22:00。BP 132/78、不穏様症状なし。
A:BPSDの不安・焦燥が夜間に出現。昼寝時間がやや長く夜間睡眠を阻害している可能性。
P:①日中活動量増(午前のレク参加促進、昼寝30分以内)、②夕方の散歩取り入れ、③就寝前のリラックス(足浴・好きな音楽)試行、④往診医に睡眠薬使用相談、⑤1週間記録継続後ケアカンファ実施、⑥家族へ状況共有
SOAPで書くコツ
- SとOを混同しない:「痛そうだった」はAであってOではない。Oは「顔をしかめた」「右手で頭を抱えた」
- Aは事実から導く:S/Oの情報から論理的に推測。憶測のみで書かない
- Pは具体的に:「経過観察」だけでなく、何を・どの頻度で・誰が観察するかまで書く
運営指導で評価されるポイント
- 客観事実と主観評価が分離されている
- バイタル・数値が記録されている
- 対応内容が時系列で追える
- 家族・医療への連絡記録がある
- 事故・状態変化時に必ずSOAP記録がある
関連テンプレート
介護記録総合ガイド、ヒヤリハット記入例、モニタリング記録もご活用ください。
まとめ
SOAP方式は論理性・根拠・具体性の3点で介護記録の質を大きく上げます。日常記録は叙述で、状態変化時はSOAPで、と使い分けるのが現場で実践しやすい運用です。


