2024年4月から全介護事業所に義務付けられたBCP(事業継続計画)の策定ですが、2026年現在も「策定はしたが形骸化している」「訓練を実施できていない」という声が現場から多く聞かれます。本記事では、BCPの基本から実践的な訓練方法、実地指導での確認ポイントまで、わかりやすく解説します。
BCP義務化とは何か
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)とは、自然災害・感染症まん延・大規模停電などの緊急事態が発生した際に、介護サービスを継続または早期に再開するための計画書です。厚生労働省の指針では「自然災害BCP」と「感染症BCP」の2種類の策定が求められています。
義務化の背景には、2011年の東日本大震災や新型コロナウイルス感染症拡大において、多くの介護事業所がサービス提供を停止・縮小せざるを得なかった経験があります。高齢者は避難や代替サービスへの移行が困難であるため、事業所側の事前準備が不可欠です。
BCPに必ず盛り込む6つの内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 平時の対応 | リスクアセスメント・備蓄品管理・連絡網整備 |
| 発生時の対応 | 初動対応手順・指揮系統・職員参集基準 |
| サービス継続 | 優先サービスの選定・代替手段の確保 |
| 職員への対応 | 安否確認・シフト調整・メンタルヘルス |
| 関係機関との連携 | 市区町村・医療機関・他事業所との協定 |
| 訓練・検証 | 年1回以上の訓練実施・記録・見直し |
上記6項目が揃っていることが基本要件です。特に「訓練の実施記録」と「見直し履歴」は、実地指導で提示を求められることが多いため、しっかり記録として残しておく必要があります。
自然災害BCPの作り方
自然災害BCPでは、まず自施設が立地するエリアのハザードマップを確認し、想定リスクを洗い出します。地震・洪水・台風・土砂災害など複数の災害を想定し、それぞれの発生確率と影響度を評価します。次に「発災直後(0〜72時間)」「復旧期(3日〜1か月)」「再建期(1か月以降)」の3フェーズで対応手順を定めます。
特に重要なのは「水・食料・医薬品の備蓄量の設定」と「停電時の対応(医療的ケアが必要な利用者への電源確保など)」です。近隣の介護事業所や医療機関との相互支援協定を事前に締結しておくと、発災時の対応力が大きく向上します。
感染症BCPの作り方
感染症BCPは新型コロナウイルス対応の経験を踏まえて策定します。①感染疑い者発生時の対応フロー、②職員が大量欠勤した場合のシフト対応、③食事・入浴・排泄介助の感染予防手順、④外部機関(保健所・医療機関)との連絡体制、の4点が核心となります。
感染症BCPでは「コホーティング(感染者・非感染者・疑い者のゾーン分け)」の実施手順を具体的に記載することが求められます。施設の間取り図に感染ゾーンを図示しておくと、実際の発生時に迷わず対応できます。
訓練の実施方法と記録
BCPは策定するだけでは意味がなく、年1回以上の訓練実施が義務付けられています。訓練の形式は「机上訓練(図上演習)」と「実動訓練」の2種類があります。机上訓練は「震度6強の地震が発生した場合、各担当者はどう動くか」をシミュレーションする形式で、比較的実施しやすい方法です。
訓練後は必ず「訓練実施報告書」を作成し、課題と改善点を記録します。この記録がBCPの実効性を証明する重要な書類となります。当サイトでは訓練実施報告書のテンプレートを無料配布しています。
実地指導での確認ポイント
- BCP文書の最終更新日(定期見直しの証跡)
- 訓練の実施記録(日付・参加者・内容・課題)
- 備蓄品リストと実物の一致確認
- 職員への周知状況(読み合わせ記録など)
- 近隣事業所・医療機関との協定書の有無
BCPは「作って終わり」ではなく「使えるものにする」ことが目的です。定期的に内容を見直し、職員全員が内容を把握している状態を目指しましょう。当サイトのBCPテンプレートを活用して、実効性のある計画書を作成してください。



コメント