介護記録は介護サービスの質を担保し、利用者の状態変化を把握するための重要な書類です。しかし多忙な介護現場では「何を書けばいいかわからない」「時間がかかって業務が回らない」という声が絶えません。本記事では介護記録の書き方のコツとNG例・例文をまとめました。
介護記録の目的と法的根拠
介護記録は介護保険法に基づき、介護事業者に作成・保管が義務付けられています(保存期間は2年、都道府県によっては5年)。記録の目的は大きく4つあります。①利用者の状態変化の継続的把握、②チーム間の情報共有、③ケアの質の評価と改善、④紛争・事故発生時の証拠、です。
良い介護記録の5原則
| 原則 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 客観性 | 事実のみを記録する | 「〜と思われる」ではなく「〜と述べた」 |
| 正確性 | 数値・固有名詞を正確に | 「多め」より「200ml」「右膝」など具体的に |
| 簡潔性 | 必要最小限の言葉で | 一文は40文字以内を目安に |
| 迅速性 | できるだけその日のうちに | 記憶が新鮮なうちに書くことで正確性が上がる |
| 継続性 | 毎日欠かさず記録する | 「何もなかった」も記録対象 |
NGワードと言い換え例
| NGワード | なぜNG? | 正しい表現 |
|---|---|---|
| 〜と思われる | 主観・推測が入っている | 〜と述べた/〜の様子が見られた |
| 普通に〜した | 「普通」の基準が不明 | 自力で〜した/介助なしに〜した |
| 認知症のため〜 | 症状の原因を断定している | 〜と繰り返し述べていた(訴えがあった) |
| 問題なし/異常なし | 何を確認したか不明 | バイタル(体温36.5℃、血圧120/80)測定。異常なし |
| 拒否した | 感情的なニュアンスが強い | 〜を促したが「したくない」と述べ応じなかった |
| 徘徊した | 本人への偏見につながる | 施設内を歩き回る様子が見られた |
| 大声を出した | 原因・状況が不明 | 食事中に「熱い」と大きな声で述べた |
場面別例文集
食事の記録
【良い例】昼食(きざみ食)を全量摂取。水分はお茶180mlを摂取。「今日のご飯はおいしい」と笑顔で述べた。
【悪い例】食事した。水分も飲んだ。元気そう。
入浴の記録
【良い例】シャワー浴介助実施。浴室内は見守りのみで洗身は本人が実施。左肩に3cm×2cmの発赤あり。担当看護師へ報告、経過観察となった。
【悪い例】お風呂に入った。体に赤いところあった。
転倒・ヒヤリハットの記録
【良い例】14時30分頃、廊下で転倒しているところを発見(転倒を直接目撃していない)。本人は「歩いていたら足が滑った」と述べた。右膝に擦り傷あり、看護師が処置。家族・管理者へ連絡済み。
【悪い例】転んでいた。ケガしていた。連絡した。
BPSD(認知症の行動・心理症状)の記録
【良い例】10時頃から「家に帰りたい」と繰り返し訴えがあった。「娘が来る約束がある」と述べていた。職員が話を聞き、お茶を提供したところ落ち着いた。11時頃には表情穏やかになり、他の利用者と会話する様子が見られた。
ICT・介護記録システムの活用
2026年現在、介護記録のICT化を支援する補助金が拡充されています。タブレットやスマートフォンで記録できるシステムを導入することで、①記録時間の短縮、②情報共有の迅速化、③集計・分析の効率化が期待できます。介護報酬改定でもICT活用が加算評価されるようになっており、導入を検討する事業所が増えています。
当サイトでは介護記録の書式テンプレートを無料配布しています。日報・週報・月次評価表など各種フォームをダウンロードしてお使いください。



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