介護施設では高齢者の免疫力低下により感染症が集団発生しやすく、重症化リスクも高いです。感染症対策マニュアルの整備は介護保険法上の義務であり、実地指導でも必ず確認される重要書類です。本記事でマニュアル作成のポイントを解説します。
感染症対策マニュアルに必要な内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本方針 | 施設として感染対策に取り組む姿勢を明文化 |
| 感染管理委員会 | 構成員・開催頻度・議事録管理 |
| 平時の予防策 | 手洗い・マスク・消毒・換気・清掃方法 |
| 発生時の対応 | 疑い者発見〜報告〜隔離〜対外連絡のフロー |
| コホーティング | 感染者・疑い者・非感染者のゾーン分け手順 |
| 職員の健康管理 | 出勤前確認・体調不良時の報告・自宅待機基準 |
| 訓練・研修 | 年1回以上の実施・記録 |
| 記録・保管 | 発生記録・行政報告の書類管理 |
主要感染症への対応手順
ノロウイルス
ノロウイルスは11〜3月に流行し、嘔吐・下痢・腹痛を主症状とします。最重要の対策は①手洗いの徹底(アルコール消毒はノロウイルスに効果が低いため石けん手洗いが基本)、②嘔吐物・排泄物の適切な処理(次亜塩素酸ナトリウム液での消毒)、③調理担当者の体調確認です。
施設内でノロウイルス感染者が発生した場合は「コホーティング」を実施し、感染者・疑い者と非感染者のゾーンを明確に分けます。使用した食器・リネン類は高温洗浄(85℃以上・1分以上)を行います。
インフルエンザ
インフルエンザは高齢者の重症化・死亡リスクが高いため、毎年度の予防接種(職員・利用者共)が最も重要な予防策です。発症者は「発症後5日、かつ解熱後2日」が経過するまで就業制限(外出制限)とします。施設内で複数名が発生した場合は保健所へ速報が必要です。
新型コロナウイルス(COVID-19)
COVID-19は2024年に感染症法上の「5類感染症」に移行しましたが、介護施設での対策水準は維持することが求められています。換気の確保・マスク着用の推奨・発症者の個室対応・濃厚接触者の特定と観察が基本対応です。
感染管理委員会の運営
介護施設には感染管理委員会の設置が義務付けられています。委員会は①感染対策に関する方針決定、②マニュアルの見直し、③感染発生事例の検証、④職員研修の企画・実施、⑤設備・備品の管理、を主な業務とします。
委員会は「定期開催(月1回以上が望ましい)」と「臨時開催(感染発生時)」の2種類があります。議事録は必ず作成し、参加者のサインを取得して保管します。当サイトでは感染管理委員会議事録のテンプレートを無料配布しています。
実地指導での確認ポイント
- 感染症マニュアルの最終更新日と内容の適切性
- 感染管理委員会の開催記録・議事録
- 職員研修の実施記録(参加者・内容・日時)
- 消毒薬・使い捨て手袋等の備蓄量の確認
- 嘔吐処理セットの設置場所と使用方法の周知
感染症対策マニュアルは「作って終わり」ではなく、毎年の見直しと職員への周知が重要です。当サイトのテンプレートを活用して、実効性のあるマニュアルを整備してください。
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感染症対策マニュアルを「使えるもの」に更新する方法
介護施設の感染症対策マニュアルは「形式上存在する」状態から「実際に使える」状態にすることが重要です。現場で機能するマニュアルの条件は①A4一枚で見られる「緊急対応フローチャート」が先頭に載っている、②施設固有の連絡先(保健所・嘱託医・看護師当番)が更新されている、③夜勤帯・少人数体制での対応手順が明記されている——の3点です。年1回の見直し時には、前年の感染症発生事例(施設内または地域での流行)を振り返り、「あの時このマニュアルで対応できたか」を検証することが実効性を高めます。
クラスター発生時の初動対応で施設が取るべき行動
同一施設で同時期に複数の感染者が出た場合(クラスター)、迅速な初動対応が被害拡大を防ぎます。施設として最初に行うべきことは①保健所への第一報(疑わしい段階での早期連絡が重要)、②感染者・濃厚接触者の部屋・エリアの特定、③外部への情報発信(家族・委託業者・医療機関)の管理——です。「公表するか迷う」という状況でも、保健所への相談は早めに行うことで行政のサポートを受けやすくなります。
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よくある質問(FAQ)
感染対策マニュアルの策定義務は?
全介護事業所に義務化されています(2024年4月から完全施行)。未策定は減算対象です。
どんな項目を含む?
①平時の対策、②発生時の対応、③BCP(業務継続計画)、④研修・訓練、⑤連絡体制、が必須項目です。
研修は年何回必要?
全職員対象の研修を年2回以上、新規採用者には別途実施します。実施記録の保存も必要です。


