介護職員が利用者や家族からハラスメント(暴力・暴言・セクシャルハラスメント等)を受けるケースが深刻化しています。厚生労働省の調査では介護職員の約7割がハラスメントを経験したとされています。本記事では介護現場のハラスメント対策を実践的に解説します。
介護現場のハラスメントの種類
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 身体的暴力 | 叩く・蹴る・噛む・物を投げる・引っかく |
| 精神的暴力(ハラスメント) | 怒鳴る・侮辱する・「殺すぞ」等の脅し・無視・過剰なクレーム |
| セクシャルハラスメント | 性的な発言・体を触る・卑猥な言葉・性的サービスの要求 |
| 経済的ハラスメント | 不当な値引き要求・金品の要求 |
| 家族からのハラスメント | 過剰な要求・長時間の電話・SNSでの誹謗中傷 |
組織として取り組む3つの柱
1. 方針の明文化と職員への周知
「ハラスメントを許さない」という組織の方針を就業規則・職員ハンドブックに明記します。利用者・家族にも重要事項説明書に「ハラスメント行為があった場合は契約解除を含む対応を取る場合がある」と明示することが重要です。
2. マニュアルの整備と研修
ハラスメント発生時の対応手順(①記録する②上司に報告③複数対応に切り替え④必要に応じて警察・弁護士に相談)をマニュアル化し、年1回以上の研修で職員に周知します。「ハラスメントを受けたら報告する」文化を育てることが最初のステップです。
3. 組織的な対応体制
ハラスメントの対応は個人に任せず、必ず「組織として対応」します。一人で抱え込まず上司に報告→複数名で対応→必要に応じて管理者・家族への説明・改善要求というエスカレーションを明確にします。
認知症に起因するハラスメントへの対応
認知症の症状(BPSD)による暴言・暴力は「意図的なハラスメント」とは異なります。ケアの工夫(環境調整・アプローチ方法の変更)で改善できる場合があります。主治医・精神科医への相談・薬物療法の検討も選択肢です。ただし「認知症だから仕方ない」と職員が我慢し続けることは許容されません。
家族からのハラスメント対応
- 過剰な要求・長時間クレームには「記録を取る」ことを相手に伝える
- 電話対応は録音できる体制を整備する
- 事実関係を整理し管理者・弁護士と相談の上で書面での回答を検討
- SNSでの誹謗中傷は弁護士に相談し削除請求・開示請求も可能
- 対応が困難な場合は都道府県・市区町村の相談窓口を活用する
2026年の法的動向
2024年に施行された「カスタマーハラスメント対策指針(厚生労働省)」を受け、介護業界でも利用者・家族からのハラスメントを「組織として断る」姿勢が広まっています。介護事業所には職員保護の観点から積極的なハラスメント対策が求められており、対応できる体制の整備が急務となっています。
当サイトではハラスメント対策マニュアルのテンプレートも順次配布予定です。職員が安心して働ける職場環境づくりに役立てていただければ幸いです。
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介護施設でのハラスメント対策「3つの必須体制」
2024年改定で、利用者・家族からのハラスメント対策が全介護事業所の義務になりました。必須体制として求められるのは①指針の策定と全職員への周知、②相談窓口の設置と記録、③対応マニュアルの整備——の3点です。実地指導では「指針は作ったが職員に読まれていない」「相談窓口があるが誰が担当か不明」というケースが指摘されます。年1回の研修と、ハラスメント事例を持ち寄って対応を振り返るケーススタディの実施が、形骸化を防ぐ有効な方法です。
現場スタッフが「我慢しない」ための組織文化づくり
ハラスメント対策で最も難しいのは「スタッフが報告できる環境」を作ることです。「利用者に強く言ったら悪い評判が立つ」「上司に言っても変わらない」という諦めが報告を妨げます。管理職として重要なのは「ハラスメント報告を受けたとき、組織として対応した事例」を積み重ねて見せることです。「報告したら守ってもらえた」という体験が職場に根付くと、スタッフの安心感が上がり、早期のエスカレーションが当たり前になります。


