成年後見制度と介護施設の関わり方【申立て支援・日常生活自立支援事業との違い2026】

介護知識・お役立ち記事

認知症の進行や判断能力の低下により、利用者が自分で財産管理・契約行為ができなくなるケースが増えています。介護施設スタッフは成年後見制度の基本を知り、適切に支援・連携することが求められます。本記事で制度の概要と介護現場での活用ポイントを解説します。

成年後見制度の概要

種類対象権限の範囲
後見判断能力が常に欠如している方財産管理全般・重要な法律行為の代理・取消
保佐判断能力が著しく不十分な方重要な行為への同意・取消(一部代理)
補助判断能力が不十分な方特定の行為への同意・代理(本人の同意が前提)

成年後見人・保佐人・補助人(以下「後見人等」)は家庭裁判所が選任します。親族後見人のほか、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職後見人、または法人後見が選ばれます。

申立ての手順

  • ①申立人(本人・配偶者・4親等以内の親族・市区町村長等)が家庭裁判所に申立て
  • ②必要書類の準備(申立書・診断書・本人の財産目録・収支状況報告書等)
  • ③家庭裁判所による調査・審判(1〜3か月程度)
  • ④後見人等の選任・登記

市区町村長が申立人になれる「市区町村長申立て」は、身寄りがなく申立人がいない方の最終手段として活用されます。

介護施設が後見人等に協力すること

成年後見人等が選任された利用者に関して、介護施設は①利用者の状況(日常生活・健康・意向)の定期的な報告、②重要な意思決定(入院・手術・施設入居等)への情報提供、③財産管理に関与しない(後見人等の権限)ことが求められます。

特に重要なのは「施設職員が利用者の金銭管理を行わない」原則です。後見人が選任されている場合は費用の請求・収受は後見人等を通じて行います。

日常生活自立支援事業との違い

社会福祉協議会が運営する「日常生活自立支援事業」は、判断能力が低下した方の「日常的なお金の管理」を支援するサービスです。成年後見制度との主な違いは①利用者本人が契約できる程度の判断能力が必要、②支援員が定期的に自宅等を訪問して福祉サービス利用支援・日常的金銭管理を行う、③成年後見より費用が低い(日常生活自立支援事業の方が安価)、などです。

成年後見が必要なレベルになる前の「つなぎ」として日常生活自立支援事業を活用し、判断能力がさらに低下したタイミングで成年後見に移行するという使い方が現実的です。

介護施設として知っておくべきポイント

  • 後見人等が選任されたら、連絡先・権限の範囲を速やかに確認する
  • 施設の重要事項説明・契約更新には後見人等の関与が必要
  • 利用者の意思を尊重することが後見人等の基本使命(本人の意向を無視した後見はできない)
  • 虐待が疑われる後見人等がいる場合は市区町村・家庭裁判所に通報・報告する義務がある
  • 身寄りのない利用者への支援は地域包括支援センターへ早めに相談する

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