2026年6月施行の介護報酬臨時改定まで、残り約2ヶ月となりました。今回の臨時改定の目玉は、介護職員の月額賃金を平均1万円(最大1.9万円)引き上げることを目的とした処遇改善加算の拡充です。改定率は+2.03%で、近年の改定の中では異例の規模です。しかし、この加算を確実に取得・活用するためには、4月・5月中に管理者が動き出す必要があります。「6月になってから考えよう」では間に合いません。本記事では、管理者が今すぐ確認すべき実務対応をチェックリスト形式で整理します。
2026年処遇改善臨時改定の概要
2026年6月施行の臨時改定では、介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算が一本化・拡充される方向で整備が進んでいます。改定率+2.03%は全サービスの基本報酬に上乗せされる形となり、そのうちの大半が処遇改善に充てられます。月1万円ベースアップの対象は介護職員全員(常勤・非常勤問わず)が基本となりますが、算定要件を満たしている事業所のみが対象です。最大1.9万円のアップは加算区分の上位を取得した場合に実現します。対象サービスは特養・老健・有料老人ホーム・デイサービス・訪問介護など広範囲に及びます。まず自施設がどの加算区分を目指せるか確認することが最初のステップです。
4月中にやること
4月中に管理者が対応すべき事項を整理します。まず現在取得している処遇改善加算の計画書を見直し、2026年6月以降の新要件に対応できているか確認しましょう。具体的には「キャリアパス要件」「賃金改善要件」「職場環境等要件」の3本柱の充足状況を点検します。次に、職員への説明を早めに行うことが重要です。「6月から月1万円上がる可能性がある」という情報を正確に伝えることで、採用・定着効果も期待できます。また、現行の加算体制(どの区分を算定中か)を確認し、上位区分への移行余地があれば、今から書類準備を開始してください。4月末を目処に「やることリスト」を完成させましょう。
5月中にやること
5月は届出書類の準備と賃金改定計画の策定が中心です。処遇改善加算の算定には、都道府県・市区町村への体制届出が必要で、6月算定開始なら5月末が届出締め切りとなるケースがほとんどです。届出に必要な書類は「賃金改善計画書」「キャリアパス要件の証明書類」「就業規則・給与規程の写し」などです。賃金改定計画は「誰に・いくら・どのような形で支給するか」を明記する必要があります。基本給への反映なのか手当新設なのかによって、給与規程の改定が必要になる場合もあります。社労士やコンサルタントと連携している施設は5月上旬に打ち合わせをセットし、締め切りに余裕を持って対応することをお勧めします。
6月施行後の注意点
6月施行後は、初回加算請求と実績記録の管理が重要です。初回の加算請求は7月(6月分)の国保連請求となります。請求ミスを防ぐため、介護ソフトの加算設定が6月1日付で正しく更新されているか事前に確認しましょう。また、処遇改善加算は「賃金改善の実績報告」が義務付けられており、年1回(翌年7月ごろ)の実績報告書を提出する必要があります。そのためにも、6月以降は職員への支給額・支給方法の記録を月次でしっかりと保存しておいてください。モニタリングとして、毎月「計画通りに賃金改善が実施されているか」を担当者が確認する仕組みを作っておくと安心です。
よくある質問Q&A
Q: パートタイム職員にも処遇改善加算は適用されますか?
A: はい、基本的に介護職員として勤務するすべての職員(常勤・非常勤・パート問わず)が対象です。ただし支給額は勤務時間に応じた按分となるケースが多いです。
Q: どの加算区分を取るべきですか?
A: 可能な限り上位区分の取得を目指すことをお勧めします。キャリアパス要件・職場環境等要件を整備するほど上位区分が取得でき、職員への賃金改善額も増えます。まず現状のギャップを把握することから始めてください。
Q: 小規模事業所でも算定できますか?
A: 定員・規模に関係なく算定できます。むしろ小規模事業所こそ、処遇改善加算による賃金改善が採用・定着に直結するため、積極的に取り組む価値があります。
まとめ
2026年6月施行の処遇改善臨時改定は、介護現場の賃金水準を大きく引き上げるチャンスです。しかしそのチャンスをつかめるかどうかは、4月・5月の準備にかかっています。管理者は本記事のチェックリストを参考に、今すぐ動き出しましょう。職員の定着・採用力強化にもつながるこの改定を、施設経営の転換点として活用してください。



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