「とっさに体を支えてケガはなかったが、危なかった」——介護現場で日常的に起こるヒヤリハット。その場で安心してしまい、報告書を書かずに終わらせていませんか?ヒヤリハット報告書は、同じ事故を防ぐための重要なツールです。書き方のコツと記入例を具体的に解説します。
ヒヤリハット報告書を書く目的
ヒヤリハット報告書を書く目的は「記録を残すこと」ではなく、「同じ状況で次の事故を防ぐこと」です。一件一件のヒヤリハットを分析することで、施設内の環境的な問題や、手順上のリスクを発見できます。また、実地指導や監査の際にもヒヤリハットへの取り組みは評価対象となります。
NG表現と正しい表現の対比
ヒヤリハット報告書でよく見られるNG表現と、それに対する正しい表現を比較します。
| NG表現 | 正しい表現 |
|---|---|
| 「注意が足りなかった」 | 「移乗介助中、利用者の重心移動を確認せずに手を離した」 |
| 「うっかりしていた」 | 「申し送り時に服薬確認が口頭のみで、ダブルチェックを省略していた」 |
| 「いつもと様子が違った」 | 「バイタル測定時、通常より収縮期血圧が30mmHg高く、顔色が蒼白だった」 |
| 「転びそうになった」 | 「廊下を歩行中、左足が絨毯の端に引っかかり、前方にバランスを崩した」 |
ポイントは「誰が・いつ・どこで・どうなった」を5W1Hで具体的に記述することです。感想や感情的な表現は避け、客観的な事実のみを記載します。
記入例3パターン
【記入例①】転倒リスク(食堂での立ち上がり)
発生日時:〇月〇日 12:45/場所:1階食堂
状況:昼食終了後、A様が介助なしで立ち上がろうとした際、椅子が後ろにずれ、一瞬バランスを崩した。すぐ近くにいたスタッフが肩を支えたため転倒には至らなかった。
原因:食後は立ち上がりに見守りが必要なA様だが、配膳準備のため2名のスタッフが席を離れており、見守りが手薄になっていた。
再発防止策:A様の食事終了時は必ずスタッフ1名が近くにいるよう申し送り事項に追加する。
【記入例②】誤薬リスク(薬の取り違え)
発生日時:〇月〇日 9:10/場所:2階ナースステーション前
状況:朝の服薬介助中、B様とC様の薬袋を取り違えて渡しそうになった。B様が「この薬、いつもと色が違う」と申告したため気づいた。
原因:前日夜勤の疲労と、朝の繁忙時間帯に重なり、氏名確認を口頭のみで行っていた。
再発防止策:服薬介助時は必ず薬袋の氏名と本人確認を2段階で行うルールを再周知する。
【記入例③】誤嚥リスク(食事介助中)
発生日時:〇月〇日 12:20/場所:1階食堂
状況:食事介助中、D様がむせ込みを起こした。姿勢がやや前傾になっており、一口量が多かった可能性がある。
原因:通常の担当者が休みで、D様の嚥下状態を把握していないスタッフが介助を担当した。
再発防止策:嚥下に注意が必要な利用者のリストと介助方法を食堂の見やすい場所に掲示する。
無料テンプレートのダウンロード
当サイトではヒヤリハット・事故報告書テンプレートをWord形式で無料配布しています。記入例に沿って使えるフォーマットで、実地指導にも対応した様式です。また事故報告書テンプレートや研修実施記録テンプレートもあわせてご活用ください。


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