2026年6月、介護報酬の臨時改定が実施されます。通常の3年に1度の改定とは別に行われるこの改定は、介護職員の処遇改善が主な目的です。月額1万円ベース(最大1万9,000円)の賃上げが予定されており、介護現場で働くすべての職員に大きな影響をもたらします。改定の詳細・対象範囲・手続き方法をわかりやすく解説します。
2026年介護報酬改定とは?
介護報酬の改定は通常3年に1度(直近では2024年度改定)実施されますが、2026年6月の改定はそのサイクルとは別途行われる臨時改定です。背景には、2024年以降の物価高騰と全産業的な賃上げ要請があります。政府は「介護人材の確保・定着」を最重要課題と位置づけ、処遇改善を最優先に実施することを決定しました。
改定率は+2.03%(国費ベースで+518億円)。この財源はすべて処遇改善加算の拡充に充てられます。単なる報酬単価の引き上げではなく、事業所が処遇改善加算を取得することで職員の給与に反映される仕組みです。なお、2024年度改定で創設された「新処遇改善加算」の枠組みをベースに、さらに上乗せする形での設計となっています。
介護事業所にとって重要なのは、6月1日施行に向けた届け出・計画書の提出期限を守ることです。届け出が遅れると加算が取得できず、職員への賃上げも遅れてしまいます。早めに内容を把握して準備を進めることが不可欠です。
処遇改善臨時改定の主な内容
今回の臨時改定における処遇改善の中心は、介護職員1人あたり月額1万円ベースの賃上げです。ただし「ベース」とは全員一律ではなく、各事業所が取得する加算区分や職員数に応じて配分される仕組みを意味します。賃上げ効果の最大値は月額1万9,000円(特定加算上位区分を取得した場合)です。
訪問介護については、特に深刻な人材不足を踏まえた特別措置が設けられます。処遇改善加算の算定率が最大28.7%まで引き上げられ、他サービスよりも手厚い賃上げが実現できる設計です。訪問介護ヘルパーの確保が急務となっている地域では、この加算をフル活用した採用・定着策が重要になります。
対象となるのは介護職員全体(正規・非正規を問わず)です。ヘルパー・介護士・生活相談員・ケアマネジャー(居宅介護支援事業所の場合)など、幅広い職種が対象に含まれます。ただし、配分方法は事業所ごとの裁量があるため、職員への周知と合意形成が重要です。
施設別・職種別への影響
訪問介護では加算率が最も高く設定されており、登録ヘルパーを含む全職員が対象です。事業所規模が小さい場合でも加算算定が可能で、人材確保への追い風となります。ただし、計画書の作成・提出が必要なため、管理者の事務負担も増します。
通所介護(デイサービス)では、介護職員だけでなく機能訓練指導員やサービス提供責任者も対象となる場合があります。定員規模が大きいほど配分総額も増えるため、大規模デイでは数十万円単位の賃上げ原資が確保できます。
特別養護老人ホーム(特養)・グループホームでは、24時間体制の夜勤職員への配分が課題です。夜勤手当との組み合わせで処遇を底上げするケースが多く、夜勤シフトの安定化にもつながると期待されています。施設長・管理者は処遇改善計画書において配分ルールを明確に定める必要があります。
6月施行に向けた準備・手続き
処遇改善臨時改定の加算を取得するためには、都道府県・市区町村への届け出と処遇改善計画書の提出が必要です。提出期限は2026年4月末〜5月中旬(都道府県・自治体によって異なる)が見込まれています。最新の締め切りは各都道府県の介護保険担当課または国保連の案内を確認してください。
計画書には「賃金改善の対象職種」「配分方法(一律・職種別・個別等)」「総額見込み」などを記載します。初めて作成する場合は、介護ソフトのサポートや社会保険労務士への相談も有効です。2024年度から書式が統一化されているため、前回の書類を参考に更新する形で対応できます。
また、職員への賃金改善計画の周知・説明も必須要件です。「いつから」「誰に」「どのくらい」賃上げが行われるかを文書で共有し、異議申し立ての機会を設けることが求められます。説明会の開催や書面配布など、記録に残る形での周知が重要です。
よくある疑問Q&A
Q. 全員が月1万円上がるのですか?
A. 「月1万円ベース」は平均的な賃上げ水準の目安です。加算区分・職員数・配分ルールによって個人ごとの金額は変わります。最大1万9,000円となるケースもあれば、8,000〜9,000円程度にとどまるケースもあります。
Q. パートタイムのヘルパーにも適用されますか?
A. 適用されます。処遇改善加算は常勤・非常勤を問わず介護職員全体が対象です。ただし時給換算となるため、フルタイム換算での月額とは異なります。具体的な計算は事業所の配分計画に基づきます。
Q. 届け出をしなかった場合はどうなりますか?
A. 加算が取得できず、臨時改定による報酬増分が事業所に入らないため、事実上の機会損失となります。競合事業所が賃上げを実施する中で自事業所だけ据え置きになれば、人材確保でも不利になります。必ず期限内に届け出を行ってください。
Q. 2024年度の処遇改善加算と別に申請が必要ですか?
A. 基本的には2024年度の加算区分を引き継いだ上で、臨時改定分を上乗せする形となります。ただし届け出様式の更新が必要なため、新たな計画書・届出書の提出は必須です。
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まとめ
2026年6月施行の介護報酬臨時改定は、介護職員の月額最大1万9,000円の賃上げを実現する重要な改定です。届け出期限を守り、計画書を適切に作成・提出することで、職員の処遇改善と事業所の安定経営につなげましょう。最新情報は都道府県・厚生労働省の通知を随時確認してください。



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