ヒヤリハットは「書いて終わり」では意味がありません。要因を分析して再発防止策に結びつけることで、初めて事故防止につながります。この記事では介護現場で実用的な4M分析とSHELLモデルを、3つの事例を使って解説します。
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なぜ要因分析が必要か
同じヒヤリハットが繰り返される施設は、要因分析が「個人の不注意」で止まっています。個人責任ではなく「環境・仕組み」を分析するのが安全管理の基本です。事故防止委員会の議題としても要因分析は必須項目になっています。
4M分析とは
事故原因を4つの視点で分析するフレームワーク。航空・医療業界で広く使われています。
- Man(人):当事者の知識・経験・体調・心理状態
- Machine(機械・設備):用具・機器・物品の状態
- Media(環境・媒体):照明・床・温度・情報伝達
- Management(管理):手順・教育・チェック体制・マニュアル
記入例:転倒ヒヤリハット
事例:夜間トイレ歩行中にAさんがふらつき壁に手をついた
- Man:本人は降圧剤服用中で起立性低血圧の既往あり。介助者は新人で起立時介助手順を知らなかった
- Machine:歩行器が居室入口にあり、ベッドサイドに無かった
- Media:常夜灯が暗く、廊下の段差が見えにくい
- Management:起立性低血圧者の夜間排泄手順がマニュアル化されていない
→ 対策:歩行器をベッド横配置・常夜灯増設・夜間排泄手順マニュアル化・新人OJTに反映
SHELLモデルとは
当事者(Liveware中央)を中心に、周囲4要素との関係性のズレを分析するモデル。
- S(Software):マニュアル・手順書・教育内容
- H(Hardware):機器・建物・備品
- E(Environment):温度・湿度・騒音・時間帯
- L(Liveware周辺):同僚・上司・利用者・家族との連携
- L(Liveware中央):当事者本人の能力・体調
記入例:服薬ミスヒヤリハット
事例:Bさんの朝食後薬を、Cさんに渡しかけて気付いた
- S:服薬カートのラベルが小さく利用者名が読みにくい
- H:服薬カートが朝食後混雑する食堂入口に置かれている
- E:朝7:30は他職員の声掛けが多く集中しにくい
- L周辺:ダブルチェック担当者が朝食介助で席を外していた
- L中央:当該職員は夜勤明けで疲労状態
→ 対策:ラベル拡大・カート設置場所変更・服薬時刻分散・ダブルチェック体制再構築
誤嚥ヒヤリハット 4M分析例
事例:昼食中Dさんがむせ込み、職員が背部叩打で対応
- Man:本人は嚥下機能Grade3、姿勢調整が必要だが車椅子のままで食事していた
- Machine:適切な椅子・テーブル高さに調整されていなかった
- Media:食堂のテレビ音が大きく集中を欠いていた
- Management:嚥下機能評価結果が食事介助マニュアルに反映されていない
分析後のアクション
- 分析結果を事故防止委員会で共有
- マニュアル・手順書を改定
- 該当ユニット・全職員に周知
- 1か月後・3か月後にフォロー(再発有無の確認)
関連テンプレート
本サイトではヒヤリハット報告書テンプレート(無料)、ヒヤリハット記入例集を配布しています。要因分析欄つきです。
まとめ
ヒヤリハットの要因分析は、「個人を責める」のではなく「仕組みを変える」ためにあります。4M分析・SHELLモデルを使って、職場の「なぜ起きたか」を構造的に見える化しましょう。


