年間約10万人とされる「介護離職」は、労働力不足が深刻な日本社会において大きな問題です。政府は「介護離職ゼロ」を目標に掲げ、介護休業法の改正・両立支援助成金・地域の介護サービス整備を進めています。本記事では、企業・従業員・介護事業者がそれぞれ活用できる制度と支援策を解説します。
介護離職の現状(2026年版データ)
| 指標 | 状況 |
|---|---|
| 年間介護離職者数 | 約10万人(推計) |
| 離職者の平均年齢 | 50代が中心 |
| 離職後の就業状況 | 約40%が再就職困難 |
| 介護離職による生涯収入損失 | 数千万円規模(推計) |
介護休業法で使える制度一覧
| 制度 | 内容 | 回数・期間 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 対象家族1人につき通算93日・3分割まで可 | 3回分割取得可 |
| 介護休暇 | 対象家族1人:年5日・2人以上:年10日 | 1日・半日単位 |
| 所定外労働免除 | 介護開始から3年間・所定外労働の免除を申請可 | 3年間 |
| 時間外労働・深夜業制限 | 月24時間以内の時間外労働に制限可 | 介護開始から3年間 |
| 勤務時間短縮等の措置 | 時短・フレックス・在宅勤務等の選択肢を企業が提供 | 介護開始から3年間 |
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企業が取り組む介護両立支援のポイント
①実態把握:介護している社員を把握する
人事部が積極的に「介護状況アンケート」を実施し、介護を抱えた社員を早期に把握することが重要です。多くの場合、社員は「言い出しにくい」と感じており、自発的な申告は期待できません。
②相談窓口と管理職研修
EAP(従業員支援プログラム)や社内相談窓口を設置し、介護に関する相談ができる環境を作ります。管理職が部下の介護状況を適切にサポートできるよう、研修も重要です。
両立支援に使える助成金(2026年度版)
- 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース):企業が制度整備・取得促進をした場合に最大60万円
- 両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース):業務代替者への手当支給等に最大25万円
- 職場意識改善助成金:テレワーク・時短等の環境整備費用に最大150万円
介護事業者が企業と連携してできること
介護事業者は地域の企業に対して「介護相談窓口の開放」「従業員向け介護セミナーの実施」「ケアマネジャーによる個別相談会」などを提供することで、地域の介護リテラシー向上と新規利用者獲得につなげられます。BtoB展開の新しい収益モデルとしても注目されています。
まとめ
- 介護休業・介護休暇など法定制度の周知徹底が企業の最初の義務
- 早期の実態把握と相談しやすい環境づくりが介護離職予防の鍵
- 両立支援等助成金を活用することで企業の費用負担を軽減できる
- 介護事業者が企業向け研修・相談サービスを提供する新しい連携モデルも有効


