2026年版 介護施設の防災・避難計画策定ガイド【実地指導対応】

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介護施設における防災・避難計画の整備は法令上の義務であり、実地指導でも必ず確認される重要事項です。BCPとの違い・避難確保計画の作成手順・訓練の実施方法を実務目線で解説します。

防災計画・避難確保計画・BCPの違い

書類 目的 作成義務
消防計画(防火管理者届出) 火災時の避難・消火・通報手順 収容人員10名以上の施設は必須
避難確保計画 水害・土砂災害時の避難手順 浸水想定区域等の施設は必須
BCP(事業継続計画) 災害後のサービス継続・早期再開 全介護事業所(義務化)

3つの書類は目的が異なります。「消防計画+避難確保計画=目の前の危機から命を守る」「BCP=災害後にサービスを続ける」というイメージで整理しましょう。

避難確保計画の作成手順

STEP1:ハザードマップの確認

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」で施設が洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域に該当するか確認します。該当する場合は市区町村への「避難確保計画」の提出と年1回以上の訓練実施が義務付けられています(水防法・土砂災害防止法)。

STEP2:避難先・避難ルートの設定

避難先は①施設の上階(垂直避難)②指定避難所③協定施設(近隣の施設)の優先順位で設定します。利用者の移動能力(歩行可・車いす・ストレッチャー搬送)によって避難に必要な時間・人員を計算し、「タイムライン」として整理します。

STEP3:職員の役割分担

避難時の役割(指揮・連絡・避難誘導・搬送・後方支援)を職員ごとに明確に決めます。夜間・休日の少人数体制での避難を想定したシナリオも必ず作成します。

避難確保計画 記入例

以下は、デイサービス(定員20名)を想定した避難確保計画の記入例です。施設の状況に合わせて修正してご活用ください。

【記入例①】施設基本情報・対象災害

施設名 (例)ふくし園デイサービスセンター
所在地 (例)○○市○○区○○町1-2-3
ハザード種別 (例)洪水浸水想定区域(想定最大浸水深:1.5m)
計画の対象災害 洪水・土砂災害(台風・大雨)
避難先①(垂直避難) 施設2階 / 収容可能人員:40名
避難先②(水平避難) ○○小学校体育館(徒歩7分・車いす可)
協定施設(代替避難) ○○老人ホーム / 担当:○○部長 TEL 000-000-0000

【記入例②】タイムライン(水害発生時)

警戒レベル 発令状況 施設の対応 担当
レベル3 高齢者等避難(避難準備情報) 利用者家族へ連絡開始/送迎車の準備 管理者・送迎担当
レベル4 避難指示 全利用者の垂直避難または帰宅誘導開始 全職員
레벨4継続 帰宅困難者が残存 施設2階に待機・家族迎えを要請 管理者・夜勤担当
レベル5 緊急安全確保 2階待機維持・消防・自治体へ救助要請 管理者

【記入例③】職員の役割分担表

役割 担当者(日中) 担当者(夜間・休日) 主な業務
指揮・判断 管理者 ○○ 夜勤リーダー(当番制) 避難開始判断・自治体連絡・記録
利用者誘導① 生活相談員 ○○ 夜勤職員① 歩行可能な利用者を誘導
車いす搬送 介護士 ○○・○○ 夜勤職員②(応援要請) 車いす利用者の搬送(1名につき2名体制)
家族連絡 事務員 ○○ 指揮者が兼務 緊急連絡網による家族への通知
後方支援 調理員 ○○ (日中のみ) 非常食・薬・個人ファイルの搬出

【記入例④】訓練実施報告書

訓練実施日 (例)2026年6月15日(日)14:00〜15:30
訓練種別 実動訓練(洪水・避難誘導)
想定シナリオ 台風接近によりレベル4「避難指示」発令、施設2階へ垂直避難
参加者数 職員8名・利用者12名・家族ボランティア3名
訓練時間 誘導開始〜2階収容完了:22分(目標20分以内→要改善)
課題① 車いす利用者Aさんの搬送に時間がかかった(担当2名不足)
改善策① 夜間の応援体制として近隣施設と相互応援協定を締結する
課題② 緊急持ち出し袋の場所を全職員が把握していなかった
改善策② 保管場所を厨房・事務室の2か所に掲示、月1回確認を実施
報告書作成者 防火管理者 ○○ ○○
自治体提出日 (例)2026年6月30日 ○○市防災課へ提出

上記の記入例を参考に、施設のハザード状況・利用者構成・職員配置に合わせて内容をカスタマイズしてください。特に夜間・休日の少人数体制でどう動くかを具体的に記載することが実地指導での評価ポイントです。

防災訓練の実施方法

  • 年1回以上の避難訓練実施(避難確保計画がある施設は市区町村への報告も必要)
  • 夜間・休日想定の訓練を含める
  • 利用者も参加する「実動訓練」と、職員のみの「机上訓練(図上演習)」の両方を実施
  • 訓練後は必ず「訓練実施報告書」を作成し課題を記録
  • 地域の自主防災組織・消防署との合同訓練も効果的

実地指導での確認ポイント

  • 防火管理者の選任届出(消防署提出済みか)
  • 消防計画の最終更新日と内容
  • 避難確保計画の作成・提出(浸水想定区域等に該当する場合)
  • 訓練実施記録(日時・参加者・訓練内容・課題)
  • 夜間・休日の緊急対応マニュアルの整備

防災計画は「作って終わり」ではなく、毎年の訓練と見直しを通じて実効性を高めていくことが重要です。当サイトでは防災関連の書類テンプレートも配布しています。ぜひご活用ください。


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実地指導で確認される「実効性のある避難計画」の条件

介護施設の防災・避難計画で実地指導が最もよく指摘するのは「書類は整備されているが、実際の訓練記録がない」「夜間帯の避難手順が不明確」「要支援者別の避難介助担当が決まっていない」という3点です。特に車いす使用者・寝たきりの利用者の避難順序と担当者を明記していない施設は、火災保険や自治体の補助金審査でも問題になることがあります。年2回以上の避難訓練(夜間想定を含む)と、その都度の計画見直しが評価されます。

2026年版・自治体への提出が求められる避難確保計画との連携

水害・土砂災害ハザードマップの対象区域にある介護施設は、「避難確保計画」を自治体に提出し、定期的に訓練を行う義務があります(水防法・土砂災害防止法)。この計画は施設の防災マニュアルとは別に作成が必要で、提出漏れが指摘されるケースが増えています。自施設がハザード区域内かどうかをまず確認し、該当する場合はこのガイドラインと合わせて避難確保計画を整備することをお勧めします。

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