高齢者の「施設での看取り」は年々増加しており、特養・グループホーム・老健での看取り対応は今や標準的なサービスになっています。2026年度介護報酬改定でも看取りに関する加算が維持・強化されており、適切な体制整備と書類管理が算定のカギです。本記事では看取りケアの実践から加算算定まで解説します。
看取りとターミナルケアの違い
「看取り」とは死期が近づいた人に対して、延命治療を行わずに自然な死を迎えられるよう支援することです。「ターミナルケア(終末期ケア)」は死の数か月前から行われる幅広い支援を指し、看取りはその最終段階にあたります。介護施設では主に「看取り」という言葉が使われます。
看取り介護加算の要件と単位数(2026年度)
| 区分 | 単位数 | 算定要件 |
|---|---|---|
| 看取り介護加算(Ⅰ)死亡前31〜45日 | 72単位/日 | 看取り介護体制・ガイドライン整備・多職種連携 |
| 看取り介護加算(Ⅰ)死亡前4〜30日 | 144単位/日 | 同上 |
| 看取り介護加算(Ⅰ)死亡前2〜3日 | 680単位/日 | 同上 |
| 看取り介護加算(Ⅰ)死亡前日・当日 | 1,280単位/日 | 同上 |
| 看取り介護加算(Ⅱ) | 各Ⅰより高い | 24時間の連絡体制・対応看護師の訪問 |
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看取りの流れと各段階でやること
①看取り移行の判断と合意形成
医師が「回復の見込みがない」と判断した段階で、ケアマネジャー・看護師・介護士が協議し、家族への説明を行います。「延命治療を望むか」「施設での看取りを希望するか」を家族と話し合い、書面での同意を取ります。
②看取り計画書の作成
看取り計画書には以下の項目が必要です。計画書の作成・説明・同意が加算算定の必須書類になります。
- 利用者の意向(本人・家族の希望)
- 今後想定される経過の説明
- 医師・看護師・介護士の役割分担
- 家族への連絡ルール(容体変化時の連絡先・対応)
- 希望する終末期ケアの内容(食事・入浴・痛み管理等)
- 最期の場所についての希望
③多職種での定期カンファレンス
看取り期間中は少なくとも月1回の多職種カンファレンス(医師・看護師・ケアマネ・介護士・場合によっては管理栄養士・相談員)を実施し、記録に残します。家族の参加を促すことも重要で、状況変化に応じた計画の見直しを行います。
家族対応の重要ポイント
- 「その日」に向けた段階的な心理的準備の支援:いきなり看取りを提示せず、段階的に現状を伝える
- 家族間で意見が割れる場合の調整:キーパーソンを明確にし、意見集約の場を設ける
- 家族が施設に来られない場合の対応:電話・ビデオ通話での状況報告を積極的に行う
- グリーフケア(死別後のケア):死後も連絡を取り、悲嘆への支援を行う
看取りに関する書類管理チェックリスト
| 書類 | 作成タイミング | 保管期間 |
|---|---|---|
| 看取り介護計画書 | 移行時・変更時 | 5年間 |
| 家族への説明同意書 | 移行時 | 5年間 |
| 多職種カンファレンス記録 | 毎月 | 5年間 |
| 看護日誌(バイタル・状態記録) | 毎日 | 5年間 |
| 死亡確認書(医師作成) | 死亡時 | 5年間 |
| 看取り振り返りシート | 死後1か月以内 | 3年間(推奨) |
まとめ
- 看取り介護加算は死亡前の期間ごとに単位数が異なり、合計すると大きな加算収入になる
- 加算算定には「看取り計画書」「家族同意書」「カンファレンス記録」が必須
- 家族との丁寧なコミュニケーションと段階的な意向確認が看取りの質を左右する
- 多職種連携とグリーフケアまで含めたトータルな支援体制が求められる


